和白東公民館 講演会

平成17年12月5日午前10時より、和白東公民館よりご依頼を受け「家庭教育学級講座」の講師として、「親と子どもの心の理解とコミュニケーション」のテーマで講演を行いました。

和白東公民館は、閑静な住宅地の中にあり、老人いこいの家との複合施設として、子どもからご老人までが集まれる公民館です。これからの時代に求められる地域支援のために、前田館長をはじめ、様々な団体の方々が協力して意欲的な活動をされています。

今回の「家庭教育学級講座」も、校区の小中学校の教頭・校長先生が<子どもたちの現状から見る子育て>の視点でお伝えされる内容と、<食や心の大切さ>を理解してもらうための内容とで構成されており、地域の方々に伝えたい内容を良く検討されている印象を受けました。

講演会の前には、事前の打ち合わせに伺いましたが、公民館の皆様をはじめ、地域支援の代表の方々もお集まりいただき、子どもたちを取り巻く環境や最近続いている悲しい事件のことなどについてみなさんが真剣に取り組まれていることをお聴きすることができました。
また、最近の難しい子育ての環境の中で母親の悩みも多様化しています。それを支援されている方々の大変さやご苦労などもお伺いしました。そこで、地域における様々な役割を持つ方にも共通な『心の理解につながる内容』をお話できればと思い、楽しく役に立つ具体的な体験型のセミナーを提案いたししました。


講演会当日は、数日前より九州にも寒波が押し寄せ、朝から雪の降る寒い日であったにもかかわらず、多くの方に足を運んでいただきました。
子育て中のお母さんをはじめ、地域の子ども支援をされている方々など、和白東の地域を支える多くの団体にもご参加頂き、公民館を中心に地域が一つになって様々な問題に取り組まれていることを実感いたしました。

講演のはじめは寒い外から来られたこともあって体と表情がカチカチでしたが、「心のパーセント」という自分の心をみつめるワークや、「心と心の握手」という心理ゲームを通して、お隣同士がすっかり打ち解け、笑い声も聞こえるほどリラックスして頂きました。
私たちは、忙しい日常の中で「自分の心」を見忘れていることが多いものです。今日の体験で、初めて自分の心を鏡に映して見られた方々も、新しい気づきや心を理解する大切さを感じて頂けて嬉しく思いました。

前半では、「心の声」を聴くコミュニケーションスキルの実践を行いました。日常生活や子どもとの会話の場面で、言葉で聴けることだけではなく「言葉の奥にある心の声」を聴くことの大切さと、聴いてもらえた時の嬉しさを体験して頂けました。みなさん、「心の声」を上手にキャッチされており、参加されている方々の意識の高さを非常に感じました。

後半では、「私たちの心の発達」というテーマで、各発達段階での子どもたちの特徴などをお伝えしました。『子育て中に、特に子どもに手がかかる時ほど、子どもが成長している時』であることを心の発達を通して知ることができれば、母親にとっては大変な時期であっても子育てを広い視点でみる余裕が生まれてきます。

また、心の発達を多くの母親が適確に理解することで、自分の子どもだけでなく他の子との関わりにも寛容になり、社会全体で子どもを育てる意識も芽生えてきます。

いつも講演会では子どもの心の発達を通してお話をしますが、自分や周囲の人への心の理解も深まり、「多様性や個性を認める心の豊かさ」まで気づいていただけることは大変嬉しいことです。

最近、子どもが犠牲になる多くの悲しい事件が報道されています。発生した時で迅速に対処するのはもちろん、長期的な視点での子どもたちが被害者にも加害者にもならないための「心の教育」が必要です。子どもたちだけではなく、家庭や教育現場をはじめ、私たち社会全体の問題として認識していく必要があると思います。

子どもたちが、『人を信じ、自分を信じ、社会を信じてはばたける社会』を目指すためには、専門家だけではなく地域や社会の一人一人が豊かな心でつながりながら協力する姿が重要なことです。

前田館長が「公民館だけではなく、地域をはじめ様々な団体や組織や人とつながりながら、信頼関係をもって迅速な活動を行うことが大切です。」とおっしゃったことが心に残りました。
また、校区を支援されている方々も、「前田館長のサポートで、地域が変わってきました。私たちも、とても活動しやすい環境で頑張れています。」とおっしゃっていました。みなさんの思いが、一つの大きな力となってはじめて地域を社会を変えていく力になるものだと私も信じています。同じ思いで心がつながっている皆様と出会えたことを心より感謝致します。

和白東公民館を中心に、ご尽力されている皆様の思いが、地域をますます温かく豊かに包み育てられることと思います。

ご参加の方々、準備にご協力下さいました皆様、ありがとうございました。

九州メンタルケアセンター  内田奈緒子


【たくさんのご感想をいただきありがとうございました。ご紹介させていただきます。】

<和白東公民館 前田幸利館長より>

二十一世紀は 『心の時代』 と言われております。
科学文明がもたらした高度情報化社会の中、より豊かで高度な知的生活を送れる時代が到来致しました、一方では、物質的に恵まれてはいても、心の豊かさは見失われがちになっている現代、ストレスからくる "心の不健康" あるいは"心の貧しさ" などに起因する事故や事件、トラブルが多発し、社会問題化しております。
そこで、これらの問題をいかに克服すべきか、精神衛生に対する理解を深めることが予防策として肝要と考えます。
地域社会は私たちが心豊かに暮らし、繋がり、支え合い、夢を抱く大切な場であります。心豊かさを実感できる、楽しい故郷づくりに寄与できることを願って、様々な地域社会活動の拠点施設として公民館職員一同努めてまいりたいと思います。

<参加された方々より>
  • 今現在、自分自身が直面していることのヒントになりました。早速「心のパーセント」「心と心の握手」を実行したいと思います。
  • 家庭の中での母親の存在の大きさを再確認しました。自分次第で家族がよくなれるのだと思うと、頑張らなくてはと思いました。
  • とても参考になりました。毎日あわただしく怒ってばかりだった子育てに「はっ!」と気づかされた時間でした。今日から子どもと「心と心の握手」をしようと思います。
  • わかりやすい内容で、さっそく帰ったらためそうと思うことばかりでした。いつも心豊かな母親であるために「心のパーセント」を心がけながら過ごしていきたいと思います。
  • 明日から子どもと「心と心の握手」してコミュニケーションをとりたいと思います。今日は朝から少し暗い気持ちでしたが、温かい気持ちにさせていただきました。毎日自分の気持ちを感じ理解することから始めようと思いました。
  • 講演会を聴かせていただいて、日頃の子どもや家族との関わりなど、色々思うところが多々ありました。何となく日常の忙しさに顔も言葉も素っ気なくきつくなりがちなので、今日から子どもの気持ちを少しゆっくり聴いてあげることから・・・と思いました。
  • 子どもの気持ちがわからなくなってきて、どうしたらよいかと考えている毎日で、今日のお話があったような関わり方を自分はできているのか考えさせられました。子どもの能力を信じてゆとりをもって私なりの子育てをしていきたいと思いました。自分にもずいぶん自信がわいてきました。今日は内田先生にお会いできたことを感謝します。ありがとうございました。













































































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